滞在4日目は土曜日。ということでフットボール観戦が主たる目的です。
これだけは飛行機に乗る前から考えていました。
ただチケットセンターみたいなものはミュージカルのチケットしか扱っていなかったので、
もうダフ屋頼みです。
しかしちゃんと前日にインターネットで調べておきまして、
ロンドンに本拠地を持つアーセナルとチェルシーのうち(本当はトットナムとフルハムもロンドンが本拠地)
アーセナルはホームゲーム。チェルシーはアウェイゲームと知っています。
ですからアーセナルのゲームを観戦することに決めました。
試合開始は15時。
しかしながらチケットは現地調達ですから、朝からやることは特にありません。
ということで、またもや「地球の歩き方」のお世話になり、
ノッティングヒルの蚤の市に行くことにしました。
良いアンティークグッズが手に入るという情報が記載されていたので、
スーツケースに入らない分の荷物を入れるための鞄を買うためです。
すでにブーティ2本をカムデンで購入していたため、確実にスーツケースにはすべての荷物が収まりませんし、
おそらく機内への持ち込みもできません。
ですのでノッティングヒルの蚤の市は観光でも何でもなく、ガチンコの買い物目的です。
地下鉄ノッティングヒルゲイト駅を降りると、そこはおとぎの国のような可愛らしい家々と、
所狭しと路上に並べられたテントの群れ。
一店一店入念にチェックします。
蚤の市の開催は毎週土曜日なので、この界隈は観光客が激増します。
もう通りは人の群れでごった返していました。
みんなカメラを持っていて、
大道芸人や店舗の写真なんかを撮っているのですが、僕はそれを見てちょっぴりご立腹。
「こっちは冷やかしじゃなくてまともに買い物する気で来てんだよ!」と。
結局革製のボックス型の鞄を140ポンドを125ポンドにディスカウントして購入。
それといちおう親へのお土産に銀のティーポットを。こちらは40ポンドを35ポンドにディスカウントして購入。
後者は1800年代のものらしい。まあどうせ市場の爺さんが適当なことを言っているのでしょうが。
でも50年くらいは経過していそうな手触りです(汚い、という意味ではなくて)。
鞄の方は100年くらい前のものらしい。
ただここで痛恨のミスを犯しまして、
パソコンを入れるために購入した鞄で、実際お店でも斜めの長さを測ってもらったり
A4サイズの紙を入れてみたりして確認はしたのですが、
ホテルに帰って、持参したパソコンを入れてみると、ギリ入らない。
やっちまいました。
でも可愛い鞄なので、普通に色々な場面で使えそうです。
蚤の市で買い物をしているともう13時30分くらいになっていたので、一端ホテルに戻り
すぐさまアーセナルの本拠地アーセナル駅(そのまんま)に向かいます。
スタジアムは駅から徒歩5分くらいで、とても近いです。
マリノスとは大違いだ。
スタジアム前でウロウロしていると案の定やって参りましたよダフ屋さん。
ダフ屋:「日本人かい、300ポンドでどう?」(脳内翻訳)
僕:「No, 100 ponds」
ダフ屋:「クレイジーボーイだな、今日はビッグゲームだぜ」(脳内翻訳)
ここで契約未締結。
しかし粘らなければなりません。そもそも元値が40ポンドくらいのチケットを100ポンドで
こちらから交渉を仕掛けている時点で負けているような気がしますが、
相場がわからないのだから仕方がない。
300と言われたから思いっきり下げたつもりですが、それでもよく考えたら十分高い値段です。
お財布の中身を見ると、さっきの蚤の市でだいぶ現金を使ってしまったようで、
120ポンドと小銭しかない。何気に大ピンチです。
300ポンドと吹っ掛けられたから適当に100ポンドと返答しましたが、
実際は100ポンドでもギリだし、よく考えたら100ポンドって1万5千円ですからね、超高い。
しかしチケット売り場にはすでにSOLD OUTの文字が踊っていますので、
こちらも少し焦る。
しかしダフ屋はたくさんいるので焦らない。
焦らずに試合開始30分までスタジアム前で直立不動します。
するとダフ屋が近づいてきて雑談開始。
ダフ屋:「俺の嫁は日本人なんだよ、おまえは結婚しているか?」(脳内翻訳)
僕:「I’m alone」(”独り身だよ”のつもり)
ダフ屋:「150ポンドでどうだ?」(脳内翻訳)
僕:「No, 100 ponds」(”駄目だ、100ポンドだ”のつもり)
ダフ屋:「”いち”じゃだめだ、150じゃないと」(脳内翻訳)
僕:「”Ichi” is 1. 100 is japanese say “Hyaku”. You know ? “Ichi” is no 100. 100 is “Hyaku”」
(”「いち」は1だろ、100のことは日本語で「ひゃく」って言うんだよ”のつもり)
しばし沈黙して両隣で立ちすくむ二人。
僕:「It will start …」(”もうすぐ試合始まるね”のつもり、もちろん牽制)
しばし沈黙。
ここでダフ屋はどうやら嫁に電話をかけ始める。
そこで「120で売っちゃ駄目かな」と話し始める。
それを聞きながら内心
「おい、つーか100ポンドって言ってんのになんで120ポンドなんだよ」
と思いつつもどうやら嫁に許可をもらったらしく(嫁は何者?)
満面の笑みで、
120ポンドで売ってくれることになりました。
所持金が120ポンドと小銭だけの僕に120ポンドでチケットを売るとは …
仕方がないので購入することにします。
スタジアム前のグッズ売りの屋台に通され、別の男を紹介されました。
ダフ屋:「彼に金を払え」(脳内翻訳)
おとなしく120ポンドを支払います。
すると
ダフ屋:「これから別の男がここに来るからそれまで待て」(脳内翻訳)
ここで僕はぶち切れます。
まさかこのままトンズラする気じゃないんだろうな、と。
声を荒げます。
僕:「Give me the ticket, just now ! you don’t give it ??」
(”今すぐチケットをよこせ! まさかよこさないつもりか!?”のつもり)
するとダフ屋は少し焦って「落ち着け落ち着け」と僕を静止します。
そしてガルルル状態の僕の横に、如何にも「レゲエが好きです!」という具合の黒人男性登場。
黒人男性は僕に赤い定期入れのようなものを差し出します。
中にはカードが。
どうやらこのカードはアーセナルのメンバーカードか何かで、つまりは年間パス。
ある特定の座席に対してこのカードを持った人間のみが毎ホームゲームに
座れるようなシステムになっているようです。
無論、他人への授受は認められていませんでしょうし、それで商売しようなんて以ての外です。
使い方がわからないので頬を紅潮させたままダフ屋に問いかけます。
まずカードを使ってスタジアムに入り(挿入口があるらしい)、ハーフタイムにレゲエ男性にカードを返せ、
とのこと。
つまりレゲエは別の年間パスを持っていて、それを使ってハーフタイムにスタジアムに入り、
僕のカードを回収する算段のようです。
あーだこーだ言っていると、
ダフ屋が突然「電話に出ろ」とケータイを僕に差し出しました。
わけもわからず電話に出ると、そこには如何にも品の悪そうな(失礼!)中年女性の声が。
そう、嫁登場です。
カードの使い方や返却方法を説明し、もしも捕まったら
「日本人の友達、ヨウコにもらった」と言いなさい、とのこと。
ヨウコの奴、夫婦共同でダフ屋とはマジでゴミみたいな奴だな、
と内心思いながらもお世話になっているのでそうは言えません。
僕だって共犯ですから。
いやね、こうしてこういうことを日記に載せるのって結構勇気が入ります。
だって犯罪に加担しているわけですから。
「お酒を飲んで運転しちゃいました」だとか「18歳未満なのに煙草を吸っています」
といった独白とは種類の違うものなのかもしれませんが、
気持ちの良いお金の流通ではありません。
正直チケットを入手してスタジアムに入った後、
「なんか悪いことしちゃってるよな …」と少し落ち込みました。
そして売店でビールを購入し、所持金はいよいよほぼ0ポンドに。
試合はアーセナルがマンチェスター・シティに2-0で完勝。アデバヨールが頭と足で2点を取りました。
ちなみに座席はちょうど解説席側の中央、一番上の席。
テレビ観戦とほとんど同じような距離感です。
やっぱり本場の盛り上がりにはある種の感動を覚えましたが、
ダフ屋を使ってまでも観るほどではなかったな、と。
それが正直な感想です。
だってミュージカルの方がその1/3の値段であれだけの感動を与えられるのだから。
こうしたダフ屋行為は日本人がカモにされることが多いです。
僕が購入した120ポンドも、高い部類に入るか安い部類に入るのかはわかりませんが、
たぶんもっと高額で購入した人も数多いと思います。
そう考えるといたたまれません。かわいそうだとかそういうことではなくて、
カムデンやノッティングヒルで店を出している人よりも遙かに楽して儲けているダフ屋に対して
怒り心頭というか。
ただ年間パスなんて、こういった使い道がされることなどぶっちゃけ想定内中の想定内で、
度ストライクのはずです。
どうして突然こんな話を始めたのかというと、
一方のミュージカルは市内にたくさんの「tkts」という巨大な宝くじ売り場のような窓口があって、
ここで当日の余りチケットを半額程度にディスカウントして販売しています。
もちろん、「tkts」はシアター公式の窓口です。
こうして余ったチケットを予約等していない方にも満遍なく届けられるように、努力しているのです。
それに比べてフットボールの方はビジネスサイズが大きくなりすぎたがために、
年間パスのような確実に収益をあげられるタイプのビジネスモデルを平気で実施する。
優先的にあるエリアに対して予約ができる権利とか、そういう風にすれば良いんです。
なんだよ年間パスって。僕だってダフ屋行為でもしようかと思いつきますよ。
と、愚痴りまくりの滞在4日目。
試合終了後は、再び目的を失ってしまったため、ピカデリーサーカスに一端戻ります。
そうそう、一応システムとして、
年間パスをExchangeする方法はあるようです。
試合中に広告が流れていました。おそらくそういった内容だったと思います。
2009/04/05 AM 2:00
from THANET HOTEL Room No.17
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